民事訴訟法の勉強法【司法試験受験生向け】
今回は、私の民事訴訟法の勉強方法について記載します。
民事訴訟法について、私のロースクールの成績は平均以下であり、ロースクール1年目は、焦り・不安を感じていました。
合格者に民事訴訟法の勉強方法を質問したところ、弁論主義、処分権主義、既判力等の基本的な概念を理解することが重要であるとの助言を受けました(上記合格者は全体で120番台の成績で司法試験に合格し、現在裁判官として活躍されています)。
まずは、判例百選の解説を読んで、判例がどのような枠組みで判断を行っているのかはもちろんですが、判例の判断枠組みが導かれる理由が丁寧に解説されているため、いわゆる論証パターンを自分で作成するためには最適の教材でした。
しかし、司法試験の問題では、限界事例が出されることがほとんどですが、司法試験の問題では、①基本的な概念にあてはめてみるがあてはまらない、②基本的な概念の制度趣旨から判断枠組みを設定する、③判断枠組みに従って事例の判断をする、という順に検討を行いますので、判例百選では、②、③の解説が分かりやすいのですが、①については理解しづらいと思いました。
この悩みを助けてくれたのが、田中豊先生の『論点精解民事訴訟法〔改訂増補版〕』(民事法研究会、2018)でした。
私は、いわゆるリーガルクエストを持っていましたが、このような基本書は、弁論主義、処分権主義、既判力について、概念の説明はしてくれていても、どのように検討すればよいのかについては書いてないですよね。
本書では、判例百選にも載っている重要判例について、要件事実を使って解説しています。特に、弁論主義、処分権主義、既判力の解説は非常に分かりやすいと思いました。
訴訟物、請求原因、抗弁等を整理するだけで、原審は、当事者が主張していない事実を認定している、前訴が判断している事項について判断することになる等が一目でわかるようになりました。
司法試験の民事訴訟法は、判例百選に載っていない論点がよく出て、難しいですが、要件事実の整理をすることができれば、上記①の検討は確実にできます。①に配点されている点数を確実にとることができれば、できていない人に比べて簡単に差をつけることができるでしょう。
私は、ロースクールの友達と話すことで、①ができている人がほとんどいないことに気づき、民事訴訟法に関する焦り・不安が激減しました。上記合格者が言っていた基本的な概念を理解するということも理解できたように思います。
私は、民事訴訟法については、演習書はやりませんでした。慶應ロー、早稲田ローの入試の過去問を各10年ずつくらいやりましたが、問題が短いですし、基本的な概念を問う問題がほとんどですので、良かったです。